チャンバラ剣道ブログ

なまくら刀で一刀両断。斬られるのは世の中かこの俺か。

「盤上の向日葵」読み始めた

将棋の世界を舞台に、殺人事件の謎を追う話。

まだほんの読み始めだが、伏線がたくさん出てきてとても緊張感がある。読み進めたい。

今回本屋大賞のラインナップを見ていると、この「盤上の向日葵」が将棋界、「騙し絵の牙」が出版界、「かがみの孤城」が子供界、「屍人荘の殺人」が密室モノ、、、と見ていくと、割と扱うテーマが古典的というか、変なものには手を出してないなあ。IT、コンピュータモノとか、変な専門モノとかは見られない。

まあ安定していていいんだけど、未来の世界や、ミクロの世界を描いたハリウッド映画のような、まだ見たことのない世界!みたいなチャレンジングなものは入ってこないよなあ。

結局SF作家はそもそもそうなんだけど、何かの専門性を持つということは二足以上ののわらじが必要な訳で、たとえば科学の東野圭吾、たとえば医学の海堂尊、たとえば武術の津本陽、のような、作家になる前のあるいは平行して深めている職業やライフワークがそのまま作品の世界になるような人を除けば、一般的な日常生活、もしくは実際に起きた事件を参考に描くしかない。

でもこの「盤上の向日葵」は将棋の、かなりディープな部分を舞台にしている。これは将棋という割と身近なものの、実はその深い部分はほとんどの人が知らない、という絶妙なモチーフをチョイスしている。そしてその厳しい世界を描くことで、凜とした世界觀を醸し出している。

この作品は最後にどんな驚きを与えてくれるのかわからないけど、テーマを将棋に持ってきたところで、すでに面白い。
思えば塩田武士のデビュー作、「盤上のアルファ」も将棋。将棋は深いゆえに、小説の題材になりやすいのか?